フランシスが沈む一方で・・・『誰もいない夜に咲く』(桜木紫乃)
実は僕は北海道には行ったことがない。そういうことを知人に言うたびに、なぜなぜ攻撃に遇う。
溢れる自然、広い大地、ラベンダー畑、流氷、旨いものの数々、などなど。言うひと言うひと、違うものを引き合いにする。
そして網走稚内釧路函館十勝利尻根室厚岸・・・。聞いていても、どれが東で西で北か南かわからなくなる。
たぶん沢山ありすぎるのだ。そして素晴らしそう過ぎるのだ。そんなに良いことばかりあるはずがない。何かのアヤが隠されている。そう感じてしまう。
そう思いながら、北海道が舞台になっている小説を読んでいる。一昨日は『沈むフランシス』だった。昨日は『誰もいない夜に咲く』(桜木紫乃、角川文庫)。
共通項は「哀しみと仄かな希望」だ。北海道のポイントは何か?と問われれば、こう言ってくれると分かりやすい。なんだかとても訪れたくなる。