人気ブログランキング | 話題のタグを見る
新・はんきちのつぶやき
hankichi.exblog.jp

音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です

by はんきち
検索
お気に入りブログ
最新のコメント
外部リンク
その他のリンク
■放送局
・WQXR-New York's Classical Music Radio Station
・Arte TV ドイツ語
・Arte TVフランス語
・NPR(米国ナショナルパブリックラジオ)
・NHK Classic
・BBC Classic

■Blog
・木曽のあばら屋
・先見日記
Hankichiをフォローしましょう

■音楽関連
・ディグるYou Tube
・月刊ショパン
・HMV クラシック
・Tower Recordsクラシカル
・クラシック倶楽部
・HMV評論家エッセイ
・Public Domain classic
・Patricia Kopatchinskaja
・庄司紗矢香
・青柳いずみこオフィシャルサイト

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

■書籍、書評
・【ほんぶろ】
・朝日新聞書評
・松丸本舗
・往来堂書店
・フィクショネス
・BOOK TOWNじんぼう
・青空文庫 Aozora Bunko
・BOOK Asahi.com
にほんブログ村 本ブログへ

■酒
・酒とつまみ/酒飲み人生謳歌マガジン
・間口一就 まぐちかずなりの、ウェブサイト
・酒文化研究所
・鹿児島県酒造組合
・英国スコッチWhisky協会
・英国ジン・ウオッカ協会
・フランスワイン公式サイト
・ボルドーワイン委員会
・シャンパーニュ地方ワイン生産委員会
・シャンパーニュメゾン協会
・ブルゴーニュワイン公式サイト
・ロワールワイン公式サイト
・スペインカヴァ協会公式サイト
にほんブログ村 酒ブログへ

■TV
・不毛地帯
・のだめカンタービレ フィナーレ
・それでも、生きてゆく
・問題のあるレストラン

■映画
・蓮實重彦「あなたに映画を愛しているとは言わせない」
・Ozu-san.com
・昔の映画を見ています

■写真、技術
・ある技術者の写真アート
・リソグラフィGuru

■街角探検
・昭和毎日
・横浜都市発展記念館
・web東京荏原都市物語資料館
・世田谷文学館
・MORISHINS MEW (ARCHHITEC)
・「ハマちゃん」のがらくた箱
・ぽこぺん都電館
・てくてく牛込神楽坂
ブログランキング・にほんブログ村へ
カテゴリ
記事ランキング
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 02月
2009年 01月
小津の『青春放課後』・・・残されていた日本人の品格
ようやく、小津脚本のテレビドラマを観た。初回放映は1963年3月21日。翌年に一度再放送されただけというから、ほぼ50年振りのお目見えだ。小津は1963年12月12日に亡くなったので、これは、彼自身が手掛けた作品として、彼が目に焼き付けた最後のものになるのだろう。

撮影はフィルムではなくビデオによるもので、映像の質は高いとはいえないが、台詞や、会話のテンポ、音楽(斎藤高順)共に、まさに小津調だ。なんといっても珠玉は小林千登勢の美しさで、彼女を中心に、いつもの小津組が登場して、僕はとても楽しい時間を過ごした。

ストーリーはネタバレにもなるので末尾に記載するが、番組の解説で山本晋也(この映画監督は好きではないのだけれど)が語った次のようなことに、僕は大きく頷いた。

「なんでもない日常会話の中に、ある人の人生を左右するようなとんでもないことを我々は平気にやっているのだが、そこでわからせるようなことは言わない、ある種の人間の品格、この時代の日本人の品格がここに残されている。」

ドラマの最後で、主人公の千鶴の父の友人・山口が、「階前(かいぜん)の梧葉(ごよう)すでに秋声(しゅうせい)」と言い放つが、これも心に沁みた。

中国の儒者、朱熹による詩「偶成」からで、僕らはその冒頭のほうをよく知っている。「少年老い易く、学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず、未だ覚めず地塘春草の夢、階前の梧葉、己に秋声。」(後半部分の意味は、庭の前のあおぎりの葉にもう秋風が吹いているではないか、時間は再び繰り返さないのだ 今しなければいけない事を、この今、懸命に励もうではないか、のようなことである。)

小津の最晩年については、Wikipediaには次のようにある。これを読むだけで、この作品の貴重さが小津ファンにはわかる。
「1963年(昭和38年)里見と共に初めてテレビ用に書き下ろしたNHKのドラマシナリオ『青春放課後』を書くがその後体調に異変を感じ、同年4月にがんセンターで手術を受けた。いったん退院するが10月に東京医科歯科大学医学部附属病院に再入院、12月12日自身の還暦の日、午後12時40分に逝去。60歳没、生没同日であった。」

■脚本:小津安二郎、里見惇
■出演:
佐々木千鶴 - 小林千登勢
長谷川一郎 - 佐田啓二
緒方あや子 - 杉村春子
山口信吉 - 宮口精二
金子三枝子 - 環三千世
山口ふみ - 三宅邦子
緒方省三 - 北竜二
佐々木せい - 西口紀代子
三枝子の夫 - 高橋幸治
京子 - 稲野和子
ローガン - マイク・ダニーン
料亭の女将 - 藤代佳子
バーのマダム - 南美江
■音楽:斎藤高順
■演出:畑中庸生
■製作、放映:1963年、NHK。88分、白黒。同年3月21日放送
■今回放送:NHK BSプレミアム 2013年10月14日、9:00-9:39am

■ストーリー
主人公は、結婚が少々遅れている佐々木千鶴(小林千登勢演じる、これがめちゃくちゃにベッピンである)。京都に暮らす彼女は、母親のせい(西口紀代子)と二人暮らしだ(父親は20年ほど前に亡くなっている)。母親は小料理屋を営んでいて、そこに学生時代の友人、山口新吉(宮口精二演じる、大学教授)が訪ねてくる。山口は、千鶴の父親と、それからもうひとりの友人・緒方省三(北竜二演じる、自動車会社の専務)とともに、せいを争った仲。山口は、千鶴の父親の墓参りをしたあと、夜の汽車で箱根に向かうという。

山口は、箱根に先にきていた緒方とゴルフに興じるが、温泉旅館でくつろいで夕食を採っているところに、千鶴が訪れる。彼女もまた、東京の友人宅を訪問するのだ。千鶴が山口の自宅に泊まることになっていることを知り、緒方も自分の家にも千鶴を泊めたいと言ったりする。学生時代のころの話にも花が咲き、祇園で雛菊という芸者をしていた、せいのことを「のりの岡惚れ」だった(いろいろなひとのことを勝手に好きになる)と言ったりする。翌朝、宿の番頭が、緒方に落し物のかんざしを届けるが、それを千鶴はしっかりと記憶にとどめる。

山口宅に2日泊まったあと、千鶴は緒方の家に泊まりに行くことになる。西銀座のバーで緒方を迎えるものの、緒方は都合が悪くなり、彼の秘書、長谷川一郎(佐田啓二演じる)に家に送ってもらうことになる。千鶴は話をしているうちに長谷川に一目惚れしてしまい(それはあとになってから分かる)、しかし自分の気持ちを上手く伝えることができずに、さんざんお酒を飲んで管を巻いてしまう。演技とはいえ、ウイスキーの水割りをがぶがぶと飲むさまは凄い。

遅く帰宅した千鶴に対して、緒方の妻、あや子( 杉村春子演じる)は、いつもの小津映画同様、嫌味の二つ三つを放つのだが、それはまさに小津のなかの杉村で、観ている側はもうそれだけで嬉しくなる。

翌日、千鶴は目白の友人で結婚している金子三枝子(環三千世演じる)宅を訪れる。夫との仲の良い姿を目の当たりにして、千鶴はもういたたまれなくなり、早々に退散する。遣る瀬無くなった千鶴は、長谷川に電話をして呼び出してみるが、そこで彼にはもう一緒に暮らしている女がいることを知る。

千鶴は、もうさらに哀しくなり、その晩は緒方宅ではなく、赤坂の旅館に泊まりに行く。するとそこで緒方省三が商談で居るところに出くわす。一方、千鶴は旅館の女将が、箱根で見かけたかんざしを付けていることに気づく。

最後の最後で、山口と緒方の会話の中で、千鶴が誰の子供なのかが明かされるが、そのことをみなは秘密にしながら生きていることが分かってくる。

小津の『青春放課後』・・・残されていた日本人の品格_c0193136_1633588.jpg

  
by k_hankichi | 2013-10-15 00:18 | テレビ番組 | Trackback | Comments(6)
Commented by maru33340 at 2013-10-15 06:10
こりゃあ、君、実にどうも小津だね。
見たかったなあ(>_<)
Commented by k_hankichi at 2013-10-15 06:27
そうなんだよね、例のあれ、あのいつものも出とるよ。いつものやつ。
Commented by saheizi-inokori at 2013-10-15 09:56
冒頭の監督の話が長くて根切れしてみませんでした。
熱意がたらんな。
Commented by k_hankichi at 2013-10-15 19:29
saheiziさん、これはファンには堪らない内容でしたよ。
Commented by およう at 2013-10-16 00:17 x
昔、見たような・・気がするのですが・・・
小林千登勢で思い出しましたの。
好きな女優でしたもので^^
観たかったですー。
BSも無し、テレビもほとんど無しに近し、浮き世の我・・グヒャン!
Commented by k_hankichi at 2013-10-16 05:11
おようさん、初回の放映を見たなんて、すごい記憶力です。再放送、期待ですね。