友人が雲の鑑賞に填まっている。肋骨雲だとか、巻雲だとか高積雲だとか、ひこうき雲だとか。
今朝は昨晩の雨が上がって、つかの間の晴れ間が東の空に広がった。高い空にある雲がつくる形は、上空から南洋の海をみたときの海岸線のように見える。低い空にある、平安時代の絵巻物に出てくるような雲は、その海に掛かる廂だ。
夕暮れにそんな雲を眺めると、南洋のタヒチかニューカレドニアの地に降り立とうとする機窓からの景色に思えてならないが、今朝のこの空は、嵐のあとの朝に、「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行く」と呟く画家の心のように澄んでいた。
…Hiro