少年にようやく一勝(バス停一番争奪戦)

少年は無言で首をうなだれていた。足も重そうだった。いつもは、動物のマーキング行動のように、バス停のポール付近をぐるぐると歩き回っているものが、今日は僕から1メートル程のところにじっと佇んで虚しく空を眺めている。

そう、今日は久々に僕がバス停順位一番を取ったのだ。この夏に入ってから、ずっと敗退が続いていた。だからバス停から交差点の横断歩道まで、全て少年の縄張りになっているかのようで、少年の示威行動はエスカレートするばかりだった。示威・・・。その時間に乗るのは僕たち二人だけだから、そう感じているのは僕だけなのだ。だからなおさら悔しかった。

しかし久々の一勝。僕はしっかりと足を踏ん張り、道の向こうの、とある施設がある森を涼しげに見つめ、少年が近づいてきたことに気付かぬように静かに呼吸した。

少年も少年で、そっと、足音もたてぬまま僕の横に、僕が眺める視線を避けて、手持ち無沙汰に佇む。マーキングが出来ぬ朝。哀しき空間。

6時47分発、駅行きのバス停。男と少年だけが知っている峻厳なのだ。
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Commented by およう at 2013-07-30 15:41 x
たすき鞄のあの少年ですね(^-^)
Commented by maru33340 at 2013-07-30 21:00
少年の
くやしさにじむ
夏の停車場
(丸翁)
Commented by k_hankichi at 2013-07-31 06:57
少年の 背負し鞄 ミセレーレ
(マッキー)
Commented by k_hankichi at 2013-07-31 06:59
おようさん、そうです、たすき掛け鞄の少年です。

実は今日も勝ちました。初めての二連勝。少年の恨めしそうな眼差しが痛かった。
by k_hankichi | 2013-07-30 07:10 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)

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