上海の夜景の、暑く蒸せる空気とぬるい川面の記憶の重みの憂鬱

上海からトンボ帰りで帰国したが、まだ身体のなかに、かの地のせわしなさと悠久さと、朝の喧噪と自由さと、争うような新規性と伝統と、複雑さと求心力と、自己主張と民族意識と、新しさと古さとが、ぐるぐるとうごめき続けている。体調が悪いというのではなくて、心が不安定だ。

こういった感覚は、いったいどこから来るのかと考えていたが、それはこの地が、中国大陸のど真ん中をチベットから東シナ海まで貫通させる、世界第三位の長さ6300kmの河川の集大成の地にあって、ありとあらゆる物事がここに集約さされたものだからかもしれないと思った。

揚子江(長江)は、すべてのエネルギーと歴史と、民族と思想と、味と文化とが、何百層何千層に重なり混ぜ合わされ、それが海に吐き出される。日本の河川の短さ急流さとは全く異なる、すべてを悠然と包括する懐だ。

その夜景のことを思い出す。

暑く蒸せる空気とぬるい川面は、ゆっくりとしか動かず、しかし、そのなかに内包するものの記憶はあらゆるものを含んでいて重く、だからそれが僕を依然として今もこのように憂鬱にさせるのだ、と気付いた。

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Commented by maru33340 at 2013-07-28 19:59
なるほど、かの地を訪れるには相当の体力が必要そう。夏バテ気味の僕にはまだ無理だべ。
Commented by およう at 2013-07-28 20:04 x
お疲れ様でした。その心が文とFotoから迸り出ています。上海の凄さは運河の如く・・・。最近の本では小池真理子さんが大恋愛の場所としての上海のイメージが強烈に残っています。
Commented by k_hankichi at 2013-07-28 21:01
maruさん、相当に憂鬱な気持ちになります。かの地には登録上2500万人、非登録者はそれと同じくらいいるようで、ということは、そこから醸し出されるエネルギーは、もう受け止められないほどの量塊で、繊細な魂で対応しようとしたら、いとも簡単に煤け道路や壁のなかに追い詰められてしまいそうです。
Commented by k_hankichi at 2013-07-28 21:03
おようさん、大恋愛の場所の上海・・・。そうなのですね。男と女は上海で、どこまで深く濃厚になっていくのでしょう。
Commented by saheizi-inokori at 2013-07-28 21:42
おつかれさまでした。
上海、一度しか行ったことがないのですが、疲れましたよ。
Commented by k_hankichi at 2013-07-28 22:19
saheiziさん、このエネルギーの量と質いったらすさまじく、それに慣れることを、極東の我々も、そして欧米の彼らもやってきていて、その努力のすさまじさを想像するだけで、こうべを垂れます。
by k_hankichi | 2013-07-28 09:04 | 街角・風物 | Trackback | Comments(6)

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