「東京で最も薄明薄幸な道路」・・・六本木通り一般道

このあいだ千駄ヶ谷の銭湯にいったときに、渋谷区の郷土博物館・文学館で、 「昭和30年代の渋谷駅とその周辺Ⅰ」という写真展をやっていることを知った。

ようやっと訪れることができた。渡邉孝さんというかたの撮影写真からである。ごく小規模の写真展だ。おもに昭和30年代に撮影された写真と現在の姿の対比で、それはよくある手法なのだけれども、高度成長前の渋谷がいかに鄙びた場所だったのかが分かって、とてもよかった。

溜池から渋谷まで通じている六本木通りは、昔は途中で途切れていたということも、実は初めて知った。ぼくは、ここを都電が渋谷まで通っていたと信じていたから、大間違いだ。渋谷からは金王町(現在の青山学院のトンネルよりも大分渋谷寄り)まで、ほんの少し道路ができていただけで、あとは大学の敷地やら住宅地が、高樹町・麻布笄町まで敷き詰められている。六本木方面から来た都電は、高樹町で大きく道を逸れて、青山通りのほうに曲がって、そして宮益坂から渋谷に下る。

この六本木通りは、ちょうど1962年(昭和37年)ごろから拡幅整備・建設が始まっている。そして1964年(昭和39年)に開催された東京オリンピックを前にして全線が開通している。そしてそのあと間もなく、首都高速が、1967年(昭和42年)9月2日に谷町JCTから渋谷4丁目(暫定出入口)が開通している。

とすると、あの高樹町から金王町界隈の両脇に燦々と陽がさしていたことは、ほんのわずかの間だけ(長くてもせいぜい2年くらいか)だったということになる。なんと短い期間なのか。

僕は、これを「東京で最も薄明薄幸な道路」と名付けたい。

時期的には弟分である首都高速をその上に建設させることを、生まれた時から宿命として負わされている悲しき道。弟に太陽の日差しを譲るために生まれた自己犠牲の道。

1971年(昭和46年)12月21日、 渋谷出入口から用賀、そして東名高速まで繋がることで、彼の身辺は、今日まで、大量の車両の走行騒音に覆い尽くされる。

僕は、彼がつかの間の日差しを浴びていた数か月のことを、思い遣る。遠く思いを馳せる。

※昭和毎日にも、1956年のこの場所の地図がある。
http://showa.mainichi.jp/map/?lat=35.656878&lng=139.703935

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by k_hankichi | 2013-06-08 21:23 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)
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