よくよく思い出してみれば、ぼくらは、子供の時から、ストーリーというものが好きだった。絵本の時代から、いぬいとみこの童話や、「エルマーとりゅう」、「ながくつしたのピッピ」、「路傍の石」や、「がんばれヘンリーくん」、そして、少年少女世界文学全集の時代まで。中学生になれば、学校の図書室で、気になる人が借りている本を片っ端から読んでいた。
童話やら小説の時代がすぎてゆくと、だんだんと読む話が疎遠になり、それは現実のものと混同するほどに卑近な事例が生じたり、中学校の友達が舞台に出たり、むかしながらの旧友が、ふれることもできないほどの美女に変貌していたり。
でも、今になって、ようやっと思う。
そんな僕らは、やっぱりドラマのことが好きだった。
目黒川の黄昏が、心にいつまでも響く。