変貌の速度感

上海の街並みを見ていると、膨大にどこまでも成長する怪物のように思えてくる。30年ほどまえまでは、一面が田園であったということが信じられない。河を渡るのにはついこの間までは渡し船を使うしかなかった、という話も、目の前の高層のオフィスビル、マンション群を眺めていると、にわかには信じられない。100階建ての(450メートル級の)高層ビルが立ったかと思えば、いまその隣に建設中のものはそれよりも100メートル以上高いという。

訪問先の玄関には、そこでの成果が認められ始めた1980年代の写真が飾られているけれど、そこに出ている人々は一人を除いて全員が中華人民服を着ている。たいていは白黒の画像である。僕らが大学を出たての頃の画像とは思えない。しかし歴史を思い出してみれば、たしかにそういう時期だったわけだ。

そこから30年しか経ていない今日この空間の窓の外には、瀟洒なデザインのファッションビルがあり、そしてその前の通りをドイツ、フランス、アメリカ、日本、韓国の車が抜きつ抜かれつ、割り込み、群がり、走っている。米国かなにかのオフィス街と見まがうほどだ。

貧富の差は、あることが見て取れる。社会主義の国というものは平等な生活が送れるはずなのだろうと夢見ていた人も多いだろうが、この現実を目の当たりにすれば、違和感に捉えられる。真の社会主義への移行期間が現在なのだ、という説明らしいが、なにをどのように運んで、そのような姿にしていくのかは想像だにできない。

不思議なる哉、上海。
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Commented by maru33340 at 2012-10-26 19:57
その速度にどこか危ういものを感じる今日この頃。周りの賞賛に煽られ、最後にはお腹が破裂する蛙の寓話を思うのだ。
Commented by k_hankichi at 2012-10-26 20:49
たしかにその寓話は・・・。実と虚。陽と陰。燦と鬱。結と裂。そのいろいろが複雑に存在します。
by k_hankichi | 2012-10-26 18:33 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

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