品97といふこと

こんなに曲がりくねった往来をしていたのかと思うと、しかしそれはその当時に生きていた東京の人々の利便を考えてのことだから、それに沿って生活が毎日展開されていたに違いない。

品97は、昔の都電の路線と同じ、そんなバス路線で、品川の車庫から出た車両は八ヶ山橋を越え、省線の停車場で人をのせる。泉岳寺を経て高輪の山を左に見ながら坂をうねうねと上り、再び魚藍坂をこんどはだらだらと下ってゆく。

古川橋、四ノ橋、天現橋と少しずつ登り、広尾橋になる。霞町は谷にある町で、いまは西麻布と呼ばれるようになったが、本当はさみしいところ。街道の裏側にある道が、むかしの河の流れだ。

青山のかつての練兵場に繋がる緩やかな丘を登り始める。平たい原っぱだったろう場所になり、のろのろと走ってゆくうちに、権田原となり、あとは信濃町、左門町、四ッ谷、そして東京の西の果て、信濃追分の旧宿場町に着く。

その北側の三交町にはいつもゆく飲み屋があり、だからそうやってそこまでたどり着くことは楽しい。
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by k_hankichi | 2012-09-13 07:54 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)

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