夏の蒸気のうつろう気配に、はっとする

朝から気温が上がりそうな按配だったけれど、昼過ぎから驟雨があり、あわてて家じゅうの窓を閉めに駆けずり回り、洗濯物を取り込み、締め切った空気のなかで、外の様子をうかがった。

それが止み、晴れ間がのぞき、蝉の合唱が始まり、窓を開け放ちにまわり、しばらくするとまた、驟雨になり、家じゅうの窓を閉めに駆けまわり、そうしているうちに雨が止み、雲の中から陽が射し込み、ということが繰り返された。

そんな所作をするなかで、ああ・・・、とぞくぞくするときがくる。雨がやみ、アスファルトや土や、草木がいっぱいに水分を吸い込み、そこからの蒸気が、かたまりのようにして流れこんでくるときだ。そのひんやりとした感覚は、まさに息をのむほどで、そこには、夏が終わろうとしていることの気配が充満している。

僕らのことしの夏はおわり、そしてそれは、これまでに繰り返された、いくつもの夏の一つとなって、「夏の記憶」の束に重ねられてゆく。一枚一枚の「夏の記憶」のそれぞれは、異なる年の記憶なのに、それは砂糖菓子のように甘くてせつなく、胸の高鳴りがあったりしていて、なにか似たようなところがある。

「熱気を帯びた記憶の季節」と表現した人がいて、それは確かに言えて妙だな、と思った。
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Commented by maru33340 at 2012-09-02 05:33
もう9月。
この雨で、一気に秋が加速しそう。
Commented by k_hankichi at 2012-09-02 08:12
『麦秋』にまで繋がってしまうと、すごいかもしれない。
by k_hankichi | 2012-09-01 18:10 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

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