『Open Innovation ハーバード流イノベーション戦略のすべて』(ヘンリー・チェスブロウ)
命名者の著作を読まずにオープン・イノベーションについて語ろうとしていたが、あまりに無謀な様に呆れられ、それはそうだったな、きちんとそういう書にもあたろう、と読み終えた。『Open Innovation ハーバード流イノベーション戦略のすべて』(ヘンリー・チェスブロウ、産業能率大学出版部)。
なるほど、と思うことがいくつもあるなかで、産業界の成功事例、失敗事例をもとに解析をすすめる様は、やはり学者の域を出ず、「だれがどのようなプロセスを経て、どうしてその手法を編み出したか」という、「イノベーションのプロセスを創出するプロセス」も明確になっていないことにフラストレーションを感じた。
しかし、原典の書がその後に与えた意義は大きく、その手法をいかに業態や状況に応じて洗練・修正・最適化させていくかは肝要だ。愚直に進めていくことのたいせつさ。
<社内研究開発の新しいあり方>(同書より)
社外に豊富な知識がある中で、社内での研究開発は次のようにあるべきである。
●社外の知識を見つけ、理解し、選別する。
●社外の知識では欠けている部分を社内で開発する。
●社内と社外の知識を統合し、新たなシステムを創造する。
●社内で有効に活用できない研究成果を社外に出し利益を得る。
研究には時間がかかるので、ビジネスに必要な知識がタイムリーに生み出されるとは限らない。ビジネス環境はめまぐるしく変化している。新たなイノベーション手法においては、ビジネスに必要な知識は、社内、社外を問わずアクセスすべきである。
次の言葉は、実に重い意味をもつ。
“多くのイノベーションは失敗する。しかしイノベーションしない企業には死あるのみである。”