街角探検隊の宿命~なんとか場所を捜し当てようとする「さが」~

武満徹の仕事を振り返る番組『私のこだわり人物伝』(NHK教育、「音の森への旅」2007年6月1日)のYouTubeを観て、彼の人となりに感銘していた。一方で一軒のバーが気になった。

彼が谷川俊太郎、篠田正浩、石川セリ、三浦雅士らと足繁く通い集まり、夜更けまで語りあったという新宿の小さなバーだ。文芸雑誌が壁添いのシェルフに飾ってある、いかにも趣味の良い場所だ。

映像ではそこに行く道が数秒流れるのみで、店名は明かされない。いくらつぶさに見つめても場所がよくわからない。

新宿駅近く、電車が高架軌上を走る姿が遠景に映るのみだったが、靖国通りの大ガードだろうと当たりをつけ、画面に一瞬でた喫茶チェーン店の名前を手掛かりにGoogleマップとストリートビューを眺めた。

webでさすらうこと暫し。目当ての喫茶店は見つかった。しかし路地が見つからない。映像ではビルの名前は明瞭ではなく、隠れ家バーは手ごわい。

僕ならばこう歩くだろうと想像しながら、地図の上で自分を夢想する。ああ、これなのでは…。道路の角度や周囲のオフィスの景色から、ようやっと件の店が入っているビルを見つけた。

番組は、視聴者には場所を知られないように、わざと遠回りした道筋を断片的に見せていたこともわかった。住所から検索しても店名は出てこないから、一見さんお断りの店のよう。

しかし、それでも街角探検隊は満足した。謎を解き明かしたからだ。面目躍如だ。

これなら世界中の街角探検もできそうで、だからいまは、人の夢のなかに出てきたような場所でさえ捜し当てることができる気さえする。


[PR]
トラックバックURL : http://hankichi.exblog.jp/tb/17701238
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by maru33340 at 2012-03-21 22:24
地図には底知れぬ魅力があるので、そこに時間軸を加えれば、3Dでも敵わぬ蠱惑の世界が広がるのは言うまでもないけれど、健一は3Dを知らない。
Commented by k_hankichi at 2012-03-21 23:35
地図のなかには、時間が流れています。2.5Dの世界にはお誘いします。
by k_hankichi | 2012-03-21 20:59 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


by はんきち