今朝は講演会に出かけた夢をみた。昭和の日本の街の発展と文学を振り返る、というようなものだ。会場の入り口ではある詩人の作品(詩と随想など)が纏められた企画本をもらい、それはとても良い内容だったので得をした気分とともに、客席でさっそく読み入っていた。詩人の名前はさきほどまで憶えていたがもう記憶の彼方に薄れゆく。天沢退二郎か吉増剛造であったような。
僕は友人Mと一緒にそこに居たが、事務局の人がそっと近づいてきて、評論家による講演のあとの詩人の作品の朗読よろしく、と囁かれる。その詩人本人と映画女優(吉行和子のような感じだったがこれも薄れてゆく)、そして我々(僕と友人M)に任せられている。
いきなりの展開に僕は驚く。しかし他の3名は渡された本のページを繰りながら、アサインされている部分を小さく声に出して確認している。僕は指示された随想を黙読しはじめるが、初めてだからなかなか趣きを捉えきれない。
時間が来た。まずは詩人本人による回顧の情がこもった短い詩の朗読。ああやはり詩はいいなあと感じる。次いで友人Mによる長い詩。上手い。M君きみはやはりこのことを知っていたのかとすこし困惑してはみたものの、人の心に伝わる語りには友として嬉しくなる。そして女優の登場。彼女も演じたことがある演劇のシナリオだ。さすがに名優と言われたその人の語り。一段と冴えている。詩人による演劇がもつリアリティとともに会場が静まる。
さあ僕だ。随想を読みはじめる。戦後の昭和30年代の世の中で彼が目覚めていったことを回顧するようなものだ。旧かなづかいは大丈夫。しかし読めない旧字がある。文字も小さい。ええい推てずっぽうでも仕方あるまい、と焦りながら声に出す。うわずる。ああっと焦る。しかしええいと、次第に肝が据わってくる。読み進める、読み進める、読み進める・・・・。