先週の新聞夕刊のテレビ欄だったと思うが、珍しくクラシック音楽CDの廉価盤シリーズの広告がでた。なにやら充実した内容で、僕は早速、ケーゲル指揮、ドレスデンフィルハーモニーによる『幻想交響曲』を買い求めた。
ケーゲルにかかると、この曲は壮大な抒情詩になる。出だしの楽章のなんとゆったりしたテムポであることか。クレンペラーの演奏よりもさらに遅い。
こんなにも多彩な音が隠されていたのか、と驚く。しかも弦も管も打も重厚だ。
最終楽章も神がかり的だ。すべての奏者に亡霊が宿って鬼気迫る。例の鐘が鳴るところは銅鐘であり、あまりのおっかなさに歩きながら声をあげそうになった。
ケーゲルよ、もっと前から知っていたかったぞ(先輩の言葉に耳を傾けていれば良かったなあ)。