中山七里の『さよならドビュッシー』(宝島社文庫)を読了した。先に読んだ『連続殺人鬼 カエル男』があまりにも印象が深かったので、それでは、賞(第8回『このミステリーがすごい大賞』)をとったほうの作品をと思ったのである。
これはだいぶん明るいミステリーだった。でも、なんだか平板だ。最後まで読んでみて、ああ、そう、という感じで、しゅんとため息をつく感覚だ。音楽をテーマに挙げていて、それはとても嬉しくなるのだけれど、その記載は、どうもとってつけたようなところがある。しまいに、しらーっとした感覚になる。
音楽物であれば、奥泉光のミステリーが懐かしい。しかしこのジャンルは、僕にとっては、やはりまだ、「賭け」の領域だなあ。
さよならドビュッシー、またきてシューマン。