茂木健一郎さんは、出版される文章の質に幅があると感じる。新書系では、あれ?と思うことがある。
しかし一方で、とても深い思索や、情念のある論理展開をされる評論も著されており、僕は深い安堵と信頼を取り戻す(例えば、
『今、ここからすべての場所へ』)。
いま、その彼のエッセイを読んでいる。『脳で旅する日本のクオリア』(小学館)。
大丈夫そうだ。次のような表現には、やはり静かに感銘する。
「この世で一番美しいものは、人の心の中にある。だとすれば、人は、なぜ目を開いて周囲を眺め回すのか。あえて旅をしようとするのか。」
「…心のうちに見えてくるのは、私たちが未だその本質を十分に理解していない、もう一つの星空への入り口である。本当は私たち自身が一つの自然なのだ。」
僕も、この、こころと自然との対話のなかを、しばらく旅します。