青柳いずみこさんの本で知った、ドビュッシー最晩年の、音の実験曲だ。
それまでのドビュッシーは、物事の風景、印象、人物、動きなどを、いかに音によってあらわすか、に注力し、そしてそれを、成し遂げてきた。楽曲には、時折、その物事や人のサブタイトルが付いていた。
でも、この練習曲は違う。そういった、呪縛から、解き放たれたドビュッシーがいる。なあんだ、こんなに自由奔放になれたんだ。
いろいろな音階の組み合わせから、 いままで聴いたこともない響きや感覚を、もたらそうとしている。メシアンに、タケミツに、継承していった、響きの重なりの美が、あった。
「オクターヴのための」、そして、「組み合わされたアルペッジョのための」が、なんだか特に奔放で、その波に、自分の心を完全にゆだね、たゆたう気持ちがよい。
1.五本の指のための
2.三度のための
3.四度のための
4.六度のための
5.オクターヴのための
6.八本の指のための
7.半音階のための
8.装飾音のための
9.反復音のための
10.対比された響きのための
11.組み合わされたアルペッジョのための
12.和音のための
Pf.:ミッシェル・ベロフ
演奏:1996.11月〜1997.11月
録音場所:フランクフルト、フェステブルク教会
You Tubeでも、いくつか練習曲11を聴いてみた。アレクシス・ワイセンベルクが、よかった。