今朝はすがすがしい空気に感じる。一昨日の雪が空を浄化してくれたから、だろうか。
川上弘美さん著、中公文庫。昨日、会社に向かう途中で読了。
四年ほどまえの作品だが、「風花」に近い感覚。二組の男女のそれぞれの姿を描いている。女同士は学生時代からの友人。いっぽうの男の兄弟が、いつしかつながっていく。
「風花」とのちがい。登場人物たちは、人の気持ちの奥底、裏側をもっともっと見据えている。自己中心な人間の生きざまでもある。そして孤独だ。どこまでいっても孤独だ。
人は孤独と対峙し、そこから、やっとのことで、ひとと対話し会話し、触れ合う。そして、ぎりぎりのところから、温かい体温を得る。
川上さん、だいぶん変化している。心のなかも複雑になっている。これまで読んだ川上さんの本は、なにがあっても最後には゛あわあわ゛と終わり、優しい余韻が残るものばかりだったが、ここでは、仕方がないね、というような、ある種の諦観が残る。諦観なのに、なぜかその感覚にほっと落ち着く。