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新・はんきちのつぶやき
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「波の塔」
松本清張さんが描く恋愛小説、というような紹介で、久しぶり(多分、中学時代振り)に買い求めた。文春文庫が今年春から刊行している生誕100年記念「長編ミステリー傑作選」のなかの一冊。

昭和34年の作品という。僕が生まれた頃の東京や郊外がふんだんに描かれている。

新橋演舞場、渋谷松濤の住宅街、銀座の歓楽地、赤坂の料亭、武蔵野の面影残る杉並、京橋の呉服屋。折り込まれる街の風情が懐かしい気持ちをそそる。東京の郷愁。

深大寺、多摩川、横浜、上諏訪、身延線、佐渡島。郊外から中部、上越に男と女の気持ちが揺れ動く。

清張作品のなかでも最も数多く映画化テレビドラマ化されたそうで、富士の樹海での自殺や深大寺での密会ブームに火をつけたらしい。

そういうことを知ることも面白い。しばらく清張で昭和史をひもとこう。

波の塔〈上〉 (文春文庫)

松本 清張 / 文藝春秋


by k_hankichi | 2009-10-02 08:32 | | Trackback | Comments(0)