友人が持ち合わせていた最近のウオークマンの音の良さにも愕然とし、年末に自分の携帯プレーヤーを最新のセット&ヘッドホンに買い換えました。すると、自分が動くコンサートホールの中にいるかの如くの高音質。失われていた音楽熱が蘇ってきました。
大学時代にはクラシック音楽鑑賞会(当時は××レコード鑑賞会という名称だった)のなかでいろいろな音楽や曲に触れてきたのですが、社会人になってたちまちのうちに「仕事」の世界にのめり込み、自分の私的音楽の時間を持つことが非常に少なくなっていました。
いま、J-POPからクラシック、詩の朗読、オバマ大統領の演説まで入れ込んで家の中でも聴きまくっています。
その最初に聞き込んでいる曲、それがこの金聖響/オーケストラ・アンサンブル金沢のベートーベン 交響曲第6番ヘ長調「田園」です。
作曲された時代のオーケストラ配置、ピリオド奏法の展開、など金さんの考えがたくさん盛り込まれた演奏で、それはそれは新鮮です。
まず第1楽章の文字通り跳ねるように浮き浮きするような気分に対比しての第2楽章が良い。小川のせせらぎはこんなにゆるやかでたおやかなのだ、という気持ちに包まれます。
そして、第3楽章の牧歌とともに踊り跳ねる人々の光景に対比しての第4楽章の雷雨と嵐を表すリアリティ豊かに弾む弦と爆発する打楽器。
第5楽章は、一転してヴィブラート奏法を展開して穏やかな風景と安泰な気持ちへの回復を知らしめる。
ピリオドとヴィヴラートを対比させ適切に使い分ける解釈を入れることで、こんなにも曲の趣きが変わるのだと本当に感銘。聴き終わると一服のミントのように爽やかで自然で透き通った気持ちになれるのです。
最後に付いている「プロメテウスの創造物」序曲は、この「田園」とは全く対照的に、有り余るエネルギーをぶつけた、というようなこれまたすごい演奏です(こちらはライブ収録)。