シベリウス ハ タカラデス

◯◯◯ネン、という苗字がフィンランド人たちに多いことは知っていたけれども、実際にその国からきた人に会ったのは先週の出張のときが初めてだった。瞳は透き通るような灰色で、髪は美しくうねる金髪、「ああこれはオオカミ」、と思わず言いそうになって押し留める。

しかしすぐに次の言葉が出てしまった。

「カレワラ、ホームカミング・レミンカイネン、ハウス・イン・アイノラ・・・。」

相手の頬がほっと緩んだ。

「シベリウス  ハ  タカラデス。モースト  ビューティフル  ミュジーク。マインド  オブ  マイ  カントリー。」
(というような言葉の英語)

満面の笑みになった。そこからはら一緒にいた人たちの、何、何、それは?という訝しい問いを無言で弾き退け、彼女とシベリウス談義に花を咲かせた。

冷え込みが募り始める昨晩や今朝、そのことを思い出しながら、だからシベリウスを聴き続けている。

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# by k_hankichi | 2017-10-18 06:35 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)

素晴らしき安全インストラクションビデオ

映画のように楽しめる機内安全インストラクションに出会った。

こういうときには、不快な気持ちが一気に、払拭され、なにか清々しいまでになる。流石エンタテインメントに力を注ぐ国だけのことはある。

普段は碌に目を向けず耳も傾けない僕だけれど、ついつい見入ってしまった。

一長一短、誰にでもある。どの国にもある。短気になって、ヤケになって、関係を断とうとしてもどうしても付き合い続けなければならないのだから、良いところにも気づいてあげなければ。

■このビデオです。
https://www.youtube.com/watch?v=2HWaaaFcdmQ&feature=share

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# by k_hankichi | 2017-10-16 07:03 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

誰もが成功することを夢見る国の夢

夢をみていたかのようだった。そしてたしかに誰も彼もが夢を見ていた。

誰もが成功することを夢見るだけならば良いのだけれども、沢山の人が他者よりも少しでも儲かることに知恵を張り巡らし、ときには大法螺を吹いてでもやり通そうとする。

法螺は法螺として分かるのならば可愛いげがあるが、アドバイザーやら学識専門家までもかつぎ出して、その商売やら製品や、技術、システムやらまでをも賛辞して、また、「今後のトレンド、今年のブーム」やらまで捻出して、みなで一斉に囃し立てる。

一般の人や、ある程度訳知りな人までも、それに乗って投資したりしてしまい、まだの人たちも焦って同じく投資する。会社がそれをやってしまうときまでもがある。

夢は価値に変わり、価値は利潤に変わるのだけれど、値上がりしつづけた暁に何があるのかは、これまでの歴史が物語っている。だから、最後の最後にはある事が訪れる。

それが明らかになる前に上手く売り抜けた人は勝ちになり、演劇なのだと見破ることが出来なかった人たちは負けになる。そして、勝った人たちはまた勝ちたいと思い、負けた人たちは、今度は自分らは上手くやってやると考える。

知恵を良い方向に使って欲しい。平穏平静なる世の中になるように目指して欲しい。

しかしそうは問屋が卸さない。

その国から帰ってきて、ほっと一息ついていると、この母国までもが、その国に倣っているような気配が伝わってきた。

立憲民主の言葉がとても大切に響いている。静かにしかし、しっかりと響け。

■日没はどこにでも訪れる。
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# by k_hankichi | 2017-10-15 16:14 | 社会 | Trackback | Comments(4)

川柳がつぎつぎと浮かぶ魚料理

出張先で魚料理が有名だという店に連れていってもらった。海に近いから旨いよと勧められて頼んだのは、四種の魚を異なる調理で楽しめるというプレート。

・火鉢グリルの大西洋サーモン(ポン酢ソース)
・軽く炙った黒マグロ(Ahiの醤油バターソース掛け)
・砕いたローストマカデミアナッツ掛けのシイラMahi Mahi(ロブスターソース添え)
・アラスカ銀鱈Black Codの味噌焼き

綺麗だね!と言いながら一口、二口と食べていくが、だんだんと沈んだ気持ちに、なっていく。

美味しいはずの魚だろうに、どうしたことかこの味付けは正反対よ、と叫びたくなった。

ただ焼くの、大根おろしを添えてくれ。

何ですか? 混ぜるな危険そのソース。

皆さんの味を決めるは島国びと。

そんな川柳がつぎつぎと浮かんできて涙が出そうになった。

お腹がチクチクと痛むカリフォルニアの夜だ。


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# by k_hankichi | 2017-10-10 13:26 | 食べ物 | Trackback | Comments(3)

こういうコト(古都)って、アリでしょうか?

川端康成の小説『古都』は、ノーベル文学賞の受賞対象作の一つとしても知られている。それを原作とする映画化がまた行われていたのだけれども見逃していた。

またも機内で観させて貰い、こちらは、うむむ・・・と頭を傾げざるを得ない作品だった。

松雪泰子が双子を演ずるところまでは理解できたが、そのふたりにそれぞれ娘がいる、という設定になっている。もはや原作と違う立て付けだ。

娘役の橋本愛と成海璃子の二人の演技も中途半端で、物足りなさが倍加する。

こういう、コト(古都)ってありか?

そう呟いて目を閉じた。

■原点を頑なに守る、の例。
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# by k_hankichi | 2017-10-09 16:57 | 映画 | Trackback | Comments(2)

素晴らしい映画、『Hidden Figures』

映画『Hidden Figures(邦題:ドリーム)』を出張中の機内で観た。素晴らしい作品だった。

時代は1960年代初頭。無人人工衛星でソ連に先を越されていたアメリカ合衆国は、躍起になって衛星打ち上げ技術の開発に取り組んでいる。

アメリカ中のエリートをNASAに集め、また検算担当に理数系を専攻した女性らも加えて頑張るものの、有人人工衛星の打ち上げでまたもソ連に先を越される。

マーキュリー・アトラス6号を打ち上げ、きちんと軌道に乗って地球を何回も何時間も周回させ、そして無事に大西洋に着水させたい。コードネームはフレンドシップ7。皆は血眼になって取り組むが、楕円軌道から放物線軌道に変えるポイントも計算出来ず、頓挫しそうになる。

そんなアメリカを救ったのがキャサリン・ジョンソンという黒人エンジニアだ。その方程式を解き明かし、見事着水まで至らしめたのだった。当時、黒人たちには公民権もなく人種差別も甚だしく、まして黒人女性に対しては何のレスペクトもしない文化だったから、その偉業といったらない。

原題名は、隠された計算(Figures)と、隠された人々(理数系の黒人女性エンジニアたち)を掛け合わせ暗喩したものだった。

どこから日本での映画名がドリームというツマラナイ題になってしまうのか、とんと見当がつかなかったが、これでは、落語もオチにならない。映画製作者を愚弄しているのだろうか。

■カリフォルニアのモントレー上空から。よく晴れていて美しかった。
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# by k_hankichi | 2017-10-09 08:21 | 映画 | Trackback | Comments(2)

ブッカー賞に唸る

カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞し、さすが欧州の慧眼者たちの選考だと唸った。そんなときに僕が読んでいたのは2011年にブッカー賞を受賞した『終わりの感覚(The Sense of an Ending』(新潮クレストブックス)。この作品にも唸った。

アントニーには、高校時代に秀才の学友エイドリアンがいた。彼は名門大学に入ったが在学中に自殺する。自分の恋人ベロニカがエイドリアンと付き合うようになっていて二人とは疎遠になったいたから驚いた。社会人になり四十年も経つまで、彼はベロニカと全く音信を交わさなかった。

そんななか彼は、ベロニカの母親の弁護士から、母親の遺産の一部をアントニーに贈るという連絡を受ける。

そんな感じで始まる物語だ。

東洋の島国と西洋の島国との、大きく隔たる恋愛観、世界観がみて取れる。

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# by k_hankichi | 2017-10-08 12:48 | | Trackback | Comments(0)

久しぶりの遠藤

『フランスの大学生』(遠藤周作、小学舘 P+D BOOKS)を読んだ。フランスに留学していた際の日本の雑誌などへの寄稿文や手紙や日記、小説仕立ての作品が主体だった。

フランスの学生の悲劇を描いた二つの作品が秀逸に感じた。「恋愛とフランス大学生」、「フランスにおける異国の学生たち」。

戦争がもたらした残酷な仕打ちがトラウマになって、そこから抜け出せない男と女。そして、老人の情婦に陥ってそこから身を投げだしてしまった女。

物語の語り部として、真相を尽く力が若くして発露していた。

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# by k_hankichi | 2017-10-06 00:12 | | Trackback | Comments(2)

稲毛のプールセンター

ああ、ここは小学生のころに良くきたプールセンターの少し沖合いだなあ、と来るたびに感慨深く思い出す場所を昨日も訪れた。

いまや国際的なコンベンションセンターとしても有名なこの地なのだけれど、僕が子供のころは、船橋ヘルスセンターやら谷津遊園よりも、さらに先の、プールセンターがある場所としか覚えがなかった。

あの頃、昭和40年代の後半、プールとあれば父親はどこへでも連れていってくれて、だから、稲毛にプールセンターが出来たと知れば即座に家族でそこに足を運んでいた。

遠浅の浜が埋め立てられて海浜公園プールが出来るよりも遥かに昔のことである。

目前に、そこに繋がる浅瀬から生まれた近代都市を眺めていても、「ひよっこ」時代の残響がまだ耳の奥でこだまする。


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# by k_hankichi | 2017-10-05 07:50 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

「憲法問題」の本質に迫る本

冒頭に、副総理・財務大臣のひとが日本の改憲議論に絡めて行った演説からの抜粋が出ていて、その全文を読んだことがなかったものだから、その内容の次元を理解して椅子から転げ落ちそうになった。

「あの手口、学んだらどうかね」

のことである。

「きちんとした議会で多数」をとり、「選挙で選ばれた」ヒトラーの下で、ワイマール憲法は「誰も気づかない」うちに変わった。しかも「みんないい憲法と、みんな納得して」変わったのだという。

“しかしワイマール民主制からナチ独裁への移行は、決して静かに「みんな納得して」進んだのではない。言論弾圧と国家テロを使って無理矢理成立させた天下の悪法、授権法(「全権委任法」)の制定過程のいったいどこに、私たちがまねるべきものがあるというのだろうか。国際社会がこの演説に批判と疑惑の目を向けたのは、けだし当然だろう。そのヒトラーがワイマール憲法を無効化し、独裁体制樹立に道を拓くために濫用したのが、憲法第四十八条に規定された「大統領緊急措置権」である。これは二〇一二年四月に自民党が発表した憲法改正草案の目玉のひとつ、「緊急事態条項」に相当するものだ。ヒトラーは、この条項に助けられて、合法性の装いを取り繕いながら史上類例のない強力な独裁体制を短期間のうちに樹立することができたのだ。”(「はじめに」から)

このことを理解したうえで、僕たちは、いま、目の前の出来事に対応していかないといけない。


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# by k_hankichi | 2017-10-04 08:52 | | Trackback | Comments(2)


音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


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